「機械式 アラーム・ウォッチ」

  僕が真剣に愛してる「腕・目覚まし時計」の世界。
  「超・特大版」でご紹介です。


  現代のデジタル時計だと、「アラーム、ストップウォッチ機能付き」というのは当たり前です。

  でも、昔は機械式(ゼンマイ式)の腕時計にも、一時期アラーム付きというのが多く作られていました。(今でも一部の高級時計メーカーが作っていますし、お手頃なところではロシア製のものがあります)
  機械式のアラームウォッチは、デジタルのように「ピピピ!ピピピ!」なんて鳴りません。きちんと、「ベル音」で鳴るのが魅力です。
  また、アラームをセットした時刻がすごく見やすいのもデジタル時計より優れている点です。(昔ながらの「アナログ目覚まし時計」そのままの長所です)
  ゼンマイ式アラーム時計には、ゼンマイが2つ入っています。ひとつは時計を動かすゼンマイ。ひとつはベルを鳴らすゼンマイです。
  リストアラームの多くは、ゼンマイを巻くネジ(竜頭)が、2つ有ります。が、中には一つの竜頭を「あっちに巻くと時計のネジが巻かれ、こっちに巻くとベルのネジが巻かれる」というような造りになっているものもあります。また、比較的新しい、1970年代のものになると、セイコーのように「自動巻き」になっているものもあります。(この場合、手で巻くのは、ベルのゼンマイのみ)
  機械式アラームの多くは外国製です。
  初めてアラームウォッチを作ったのは、VULCAIN(ヴァルカン)というメーカーです。1947年発表された世界初のリストアラームは、その音色からクリケット(コオロギ)と名づけられ、その後のヴァルカンを代表する大ヒットとなります。
  続いて、高級時計メーカーのJaeger Le Coultre(ジャガー・ルクルト)が1950年、ダイヤル式のメモボックスを発表(56年には世界初の自動巻きアラームに発展)。その後、70年代にかけては、いろいろなメーカーがリストアラームを作っていました。下に挙げたのは、代表的なモデルで、ほんの一例です。(僕のコレクションじゃないです。もちろん。僕はこんなスゴイのは一本も持ってません。笑)



  日本でも、外国製の模倣からスタートし、一時期、シチズンとセイコーが多く作っていました。
  シチズンの初期型には、外観がジャガールクルトにそっくりなダイヤル式もありますが、後期型はみな、針が4本ある一般的なものになります(文字盤にはfour handsを意味する「4H」と書いてあります)。
  セイコーは、他のメーカーに遅れて一番最後にリストアラームを作ったんですが、それだけに、すごくモダンな形をしています。中身も「自動巻き」です。
  ※セイコー・ベルマチックについては、いつ読んでも楽しい、kenichiさんの「腕時計、また買っちゃいました」に詳細な記事が有ります。



  ま、僕もこうして「アラームウォッチ、いいぞー」って凄い鼻息で書いてますが、・・・・一点、不満もあります。
  それは、音です。
  もし、この時計に興味を持って、実際一本買われるとするなら、出来れば売ってるお店でベルの音色を聴かせてもらってください。
  ・・・残念ながら、音はちょっとがっかりするかもしれません。
  買う前のイメージだと、外国のお金持ちが、執事を呼ぶときに鳴らすテーブルベルの「チリリリリ・・・ン」って音なんかがしそうなものなんですが、ところがどっこい、かなり「あぶらぜみ」っぽい音がします。(笑)「ジリジリジリ」っていうか、「ビィ・・・」の連続音みたいな物が多いです。



  こう、ちょっと上品でない音になってしまう理由は、やはり、腕時計なので、ベルの形にも制約があり、それに、リストアラームには、本来腕時計が備えていなければならない防水・防塵性に相反するものがあるからみたいです。
  つまり、本来、腕時計は塵は水が入らないように、なるべく密閉型で作りたい。→ だけど、アラーム時計にするには、ケースのどこかに穴や隙間が無いと大きな音は出せないし、音色も「くぐもって」しまう。
  「腕時計型アラーム」には、こうした相反した問題があるので、なかなか「のびのびとした良い音色」のものは作りづらいようです。
  また、「振動」というのも音に大きく関係しますが、腕時計は、常に腕に密着しているので、ベルが鳴っても、ケースは自由に震えることができずに、どうしても音を殺してしまうのです。(ですから、リストアラームを試し聴きするときは、必ず腕に着けて聴かないと、本当の音色は分かりません。)
  一本一本、音量も音色が全く違うのも、この世界の魅力です。自分の使い方で選ぶのも楽しいものです。昼間に「スケジュール・アドバイザー」として使うなら、あまり大きな音だと大袈裟ですし、旅先のベッドサイドでトラベルアラームとして使うなら、大音量のものがいいでしょう。(なかには、ビックリするほど大きな音が出るものもあります)

  僕も2本持っています。どちらもそんなに有名とか高価なものでは無いですが、とても気に入ってます。

  一本は、スイスのアレラというメーカーの70年代のもの。「カタマリ感」満点なケースが変わっていて目立ちます。音量は大きめ。

  もう一本は、日本で企画・デザインされていると思われるセント・ジョイナスという時計。ここのブランドは、ロレックス等の有名ブランドのベタなコピー時計を作ることでバカにされがちですが、こんなオリジナルな時計も作っています。セント・ジョイナスの多くはスイス製の自動巻ムーブメントを内蔵しているものが多いのですが、これのアラーム付きムーブメントは、旧ソ連製です。
  マニアの間では、ソビエト製の時計は、概して見た目も中身も大味なので有名ですので、これをソビエト製だと教えると、みな一様にビックリしてくれます。
  ベースとなっているのは、POLJOT(ポレオット、パリョート)というソ連時代の「モスクワ第一時計工場」製の手巻きアラームです。1959年に発表されたソビエト初のアラーム付きムーブメントは、恐らく、少しも進化なく今も作り続けられ、・・・・日本でその文字盤だけを作り変えて販売したのが、僕の時計ですね。ま、ブランドなんかどうでも、「カッコ良ければ全てヨシ」な僕は、これで満足です。(欲を言えば、時間精度は充分なんですが、もう一本のアレラと比べてもパリョートのゼンマイの巻き味はすごく安っぽくて不安です。ゼンマイ時計に詳しい人に竜頭を回してもらうと、高級そうな見た目とのギャップに皆さん驚かれます。笑!でも、宇宙に初めて行った時計はアポロ計画のオメガではなく、ガガーリンが着けていたパリョートですから、そう考えると、とてもカッコ良い気がしてきます)
  ※僕と同じように、kenichiさんもPOLJOTを「化粧直し」したものをお持ちのようです。→「腕時計、また買っちゃいました」・旧ソ連のアラーム



  貴方も、リストアラーム、一本いかがですか? きっと愛着をもって付き合える一本になるのでは??

     SHIGETAの自己採点

  〇 オーソドックスにして、時計として必要充分。
  〇 飽きない。
  × 音は、きっとイメージと違うと思います。
  × ゼンマイの宿命か、鳴動時間が短いのが残念。10秒前後で鳴り止むものが多いです。

  ※アラーム音をいくつか試し聴きさせていただけるページを見つけました。→「ウォッチユーザーズリサーチ」様
   とても勉強になるホームページです。時計がお好きでしたら、隅々まで、ゆっくりお読みになることをお勧めします。

  ※復刻版の「ヴァルカン」と「レビュー・トーメン」を聴き比べることができるページも見つけました。→機械式時計専門店「T.S.ホリウチ」様






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